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「行動デザイン」の教科書 |どのように”行動”を起こさせるハードルを乗り越えるか?

行動へ移すハードル

マーケティングを一回でもやったことがある人は分かると思いますが、「生活者は自分が思うほど動きません」よね。
行動に至るハードルというのはとても高いのです。

AIDMAモデルの落とし穴

みなさんおなじみのAIDMAモデル。
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AIDMAモデルは、1920年に米国で発表された、消費者の購入プロセスに関するモデルです。
ここで、それぞれの相関について調べた研究内容を見ていくと
・「注目」と「興味」
・「興味」と「欲求」
・「欲求」と「記憶」
上記の3つには相関がありました。

しかし、「注目」〜「記憶」の状態での行動意向という意識面と、実際の行動という実績面の相関はそれほどまで見られませんでした。

例えば、新製品の事前ユーザーテストで購入意向を計ると、「ぜひ買いたい」「やや買いたい」が八割という回答を得たとします。行動意向の数値が高いので、行動に移る割合も多くなると思いがちです。
ですが、実際には数%ということはざらにあることだと思います。


博報堂行動デザイン研究所の調査でも、

「好きである」ことと「行動する」ことがあまり相関していないことが分かりました。

キャズムを超えるためにも

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イノベーター理論でも明らかのように、積極的に行動する人は1〜2割です。
逆に言うと、8割の人は様子見をして動きません。
このキャズムを超えるためにも、いかにして行動させるか?は重要なファクターとなるでしょう。


こうした、意識と行動のギャップを前提に「思ったほど人は動かない」と考える。
そして、意識レベルの変化よりもまずは行動レベルの変化をダイレクトに作り出す。
これが「行動デザイン」の基本的な考え方です。

人の行動原理

行動をなかなかおこさないという事実が分かったら、それは何故なのか?という事を考えなければいけません。

まず「行動デザイン」を考える上で、動かそうとしている人たちはどれくらいのリスク感覚をもっているのか?何をリスクと感じているのか?を理解することが極めて大切です。

それが分かれば、どうやってリスク感を緩和していくか、あるいはリスクを一瞬忘れさせることができるのか、というアプローチが見えてきます。

リスク感の緩和

人間は、初めて行動するときのリスク感は非常に大きいものなのです。
逆に、2回目はぐっと敷居が下がります。

例えば、「返品OK」を打ち出したマーケティングはリスク感を緩和するので有効だということです。
初回を無料にしたり、フリーミアム要素、フロントエンドの商品などの代表的な手法は「初めてのリスク」の緩和を重視しています。

さらに、見慣れた、馴染みのある人、好きなタレントが広告していると人は無意識に信頼するので「初めてのリスク」の緩和には有効でしょう。

お金だけじゃない5つのコスト

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どのコストも大体イメージはつくと思いますが、「頭脳的コスト」については説明をしておきましょう。
テクノロジーの進歩により、世の中には莫大な情報があふれかえっています。
それを収集、分析、評価、記憶していくのにかかる情報コストなどは「頭脳的コスト」に含まれます。

飛躍的に情報量が増えていく時代には、頭を使うコストを下げることは重要です。

そこでよく使われるのが「簡便法」です。
簡便法というのは、人間の情報処理・情報判断の癖です。
人は「経験的にだいたい正しい」という手がかりだけで容易に判断を下してしまう傾向があります。

・行列が出来ている店はだいたいおいしいだろう。
・大学の先生がお墨付きを出しているのだから、正しいだろう

などどいったものが「簡便法」の例です。
簡便法は、人間がどのように影響を受けるか?という心理面と強く結びついています。
そのことについて書かれている以下の本は、経営に関わる人間なら必ず読んでおかなければいけないものでしょう。

影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか

影響力の武器[第三版]: なぜ、人は動かされるのか

レーンチェンジ

リスク感の下げ方の一つに、「レーンチェンジ」と呼ばれるモノがあります。
これは、自分の馴染みのものにはリスク感を感じにくくなるという特性に着目したもです。

今、自社商品がいるポジションを近くのポジションに置き直してみるという思考法

ここで大切なのは、乗り換え先です。
乗り換え先のレーンが「たくさんの人がやっていて、ほどほどに馴染みがある」ということが大切です。

例えば、ハイボール。
ハイボールは今では食中酒として当たり前ですが、それは1980年代頃では考えられてもいないことでした。
どうやってウィスキーを食中酒として広めるか?
その答えとなったのが、隣のレーンにあったビールを取っ手の付いたジョッキでぐいぐい飲むという行動でした。
この、みんなが体験済みの飲み方でウィスキーをハイボールという形で提供した結果、現在のようになっていきました。


そのほかにも、お盆をお正月にレールチェンジした、「お盆玉」というアイデアも最近では出てきました。

フレーミング

人工知能の父と呼ばれる、マーヴィン・ミンスキーという科学者は「人間がある物事を把握し、記憶するためには脳が覚えやすい仕組み(フレーム)が必要だ」という理論を発表しました。

これをうまく活用した例をご紹介します。

「冬になったら、冬タイヤに交換しよう」

この提案は見事に、行動をフレーミングした例です。
夏服、冬服への衣替えという体験的な記憶を活用して、自然にタイヤ交換を促しています。



このような事を織り交ぜながら、行動のハードルを出来るだけ下げるにはどうしたらよいのか?という事を考えなからマーケティング等の施策を考えると、よりコンバージョンが変わってくるでしょう。

人を動かすマーケティングの新戦略 「行動デザイン」の教科書

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